2016年5月31日火曜日

【翻訳】The Ultimate Guide To Modern Merfolk: Part 1/モダンマーフォークの極意其の一

最近突然記事を書き始めたという印象のあるこのJennifer Long氏。
巷では「ミセスマリガン」と呼ばれているそうです。なにそれ?
原文はこちら


マーフォークはモダン成立初期から存在していましたが、このデッキは2015年の夏まで脚光を浴びる事はありませんでした。この時に重要な出来事が2つありました。
Przemek Knocinskiがマーフォークを使ってGPコペンハーゲンで優勝し、「潮流の先駆け」が印刷されたのです。
それからマーフォークはトップメタで暴れ回り、とうとうこの激動のフォーマットで実績を残しました。
一週間ほど前、Simon SlutskyがGPロサンゼルスで結果を残したのです。


クリーチャー(27)
4 呪い捕らえ
4 アトランティスの王
4 真珠三又矛の達人
4 波使い
3 メロウの騎兵
1 幻影の像
4 銀エラの達人
1 潮縛りの魔導士
2 大いなる玻璃紡ぎ、綺羅

呪文(13)
4 霊気の薬瓶
1 大祖始の遺産
4 広がりゆく海
3 四肢切断
1 蒸気の絡みつき

土地(20)
12 島
2 魂の洞窟
4 変わり谷
1 ワンダーワインの分岐点
1 雲の宮殿、朧宮

サイドオード(15)
2 大祖始の遺産
1 潮縛りの魔導士
2 はらわた撃ち
4 ハーキルの召喚術
2 呪文貫き
4 地盤の際


マーフォークは様々な理由で優れています。もし、地域のメタゲームに応じてデッキをいじりたいのであれば、このデッキの柔軟性にときめく事でしょう。
そして、デッキの相性ではなく実力で勝負したいのであればマーフォークはうってつけです。エルフと親和だけは無理ですが。


加えてマーフォーク使いは人間力の高い人が多い気がしています。部族デッキを使う人同士で惹かれあうものがあるのでしょうか。


・カード

一部のマーフォークプレーヤーは白をタッチして「流刑への道」や「石のような静寂」を積んでいますが、私は青単を勧めます。
土地からダメージを受けない事、土地をアンタップインする事でアグレッシブに攻める事ができるのです。
色事故が起きない事で遅いデッキが立ち上がる前に終わらせましょう。

こちらが私が次のSCGに持ち込む予定のデッキで、ストリームでも回しているものです。


クリーチャー(27)
4 呪い捕らえ
4 アトランティスの王
4 真珠三又矛の達人
4 波使い
3 メロウの騎兵
4 銀エラの達人
2 潮縛りの魔導士
2 大いなる玻璃紡ぎ、綺羅

呪文(13)
4 霊気の薬瓶
4 広がりゆく海
3 四肢切断
2 呪文貫き

土地(20)
10 島
2 魂の洞窟
4 変わり谷
2 ワンダーワインの分岐点
1 水辺の学舎、水面院
1 雲の宮殿、朧宮

サイドボード(15)
3 虚空の杯
2 大祖始の遺産
2 はらわた撃ち
3 ハーキルの召喚術
3 地盤の際


・デッキの核


全てのマーフォークに共通している核があります。
クリーチャーによるシナジーデッキだからです。
これらのカードはほぼ自動的に入ります。



マーフォークは最強のバイアルデッキです。「極楽鳥」、「オパールのモックス」に「エルドラージの寺院」が毎ターン1マナ多く生み出す事で加速をする中、マーフォークは「霊気の薬瓶」によって毎ターン2マナ加速していると言えます。
また、マーフォークはカウンターのためのマナを構えやすく、「広がりゆく海」で相手のマナを縛る事もできます。

2マナのクリーチャーが多いので基本的に「霊気の薬瓶」のカウンターは2でとどめておきたいでしょう。
しかし、3に上げるという事は「大いなる玻璃紡ぎ、綺羅」によって除去を躱せるという圧力になり、4に上げるという事はインスタントタイミングで「波使い」から大量にトークンを展開するという圧力になります。

不幸にも、「霊気の薬瓶」は終盤で引くと大惨事です。
このカードにより土地の枚数を絞れる反面、手札破壊により落とされる危険をはらんでいます。強引なマナカーブは負ける理由としては充分です。
こういった事情からマーフォーク使いはサイドボードに「地盤の際」を入れて「霊気の薬瓶」と入れ替える事で土地を増量できるようにしているのです。こうする事で後手で「霊気の薬瓶」を落とされるリスクを回避するのです。





どのデッキでもロードが入ります。「アトランティスの王」と「真珠三又矛の達人」が部族ロードの黄金コンビです。何で「ゴブリンの王」や「エルフのチャンピオン」より1マナ軽いのかは解りませんが、どうでもいいですね。
島渡りはとても禍々しいです。ひたすら大きくなり続ける軍団は「広がりゆく海」によって相手は本当に何もできなくなります。

他のロードに誘惑されないように気を付けてください。「マーフォークの君主」の3マナはただ重たく、「メロウの騎兵」も3マナですがこちらはもう1つの能力が強烈から使われるのです。
「珊瑚兜の司令官」は熊から一皮むけるまでにマナがかかり過ぎるのでロードにはならないと考えていいでしょう。




マナカーブで重要なのは1マナの圧力で、どう考えても「呪い捕らえ」で決まりです。
「コーシのペテン師」「トリトンの岸忍び」の方が安上がりですが、「審問官の使い魔」の能力を持つ事が大事なのです。
「呪い捕らえ」で相手のマナにプレッシャーを与える事が大事なのです。

相手が2ターン目に「紅蓮地獄」を唱えるのか、4ターン目に「神々の憤怒」を唱えるのか、「呪い捕らえ」は時間を作り出すのです。
こうして生み出された時間でロードを複数展開して全体火力の圏外に到達するのです。
「呪い捕らえ」1枚で相手の全体除去を腐らせましょう。



「祖先の幻視」が解禁された時、多くの人はマーフォークに追い風だと考えたようですね。
バーンが青をタッチして「宝船の巡航」を入れていた頃、マーフォークも同じことやってましたっけ?
マーフォークは攻めるデッキで、盤面を作り上げる事に注力すべきです。「祖先の幻視」を待機させている暇なんかありません。

そこは「銀エラの達人」の仕事です。これで手札を意地しながら展開できます。マーフォークの公開なんて気にしてはいけません。マーフォークが手札に無いなら「霊気の薬瓶」から出してください。



時々ロード8枚じゃ足りない場合がありますね。その場合「メロウの騎兵」が次に強いロードです。
島渡りはつかないし、3マナは重いですが、2つ目の能力でデッキのテンポが良くなります。「霊気の薬瓶」をもう1回起動できますし、土地4枚で3枚のロードを展開できます。
相手のブロッカーをタップしてもいいですし、相手の土地を寝かして戦闘中の相手の行動を妨害してもいいです。
相手の生物をタップして「潮流の先駆け」でバウンスしてもいいですね。



「波使い」が刷られた頃は「潮流の先駆け」程のインパクトをもたらしませんでした。
しかし、私は「波使い」こそが、マーフォークをメタゲームの上位に押し上げていると信じています。

「波使い」はマナカーブのトップに最適です。これは不利な盤面を覆す力があり、有利な盤面を勝ち確まで持って行ってくれます。
このカードは環境の除去の多くを回避します。「稲妻」「突然の衰微」「稲妻のらせん」「コラガンの命令」「終止」「コジレックの審問」に加えて「先駆ける者、ナヒリ」ですら触れません。
「紅蓮地獄」に「神々の憤怒」もトークンにしか効きません。



もう1枚のキャントリップ持ち、「広がりゆく海」がたまりません。
「広がりゆく海」は3色のマナベース、「風景の変容」やトロンのような土地によるコンボ、「墨蛾の生息地」や「天界の列柱」といったクリーチャー・土地を許しません。
戦場が膠着して、あと1回ダメージを通したい時にトップしたいカードですね。

地域のメタに応じて「海の要求」を追加の「広がりゆく海」として採用してもいいですね。1マナなのはいいのですが、キャントリップがつかない分やはり弱いです。しかしながら、ジャンド、トロンにエルドラージと良くあたるのなら採用を検討しましょう。

・マナ基盤



「変わり谷」は起動すると全てのクリーチャータイプを持つのでマーフォークロードと「波使い」で強化されます。
攻撃できる土地は盤面を作り上げるのに貢献しますし、コントロールを相手にする時やあと1歩足りない時に入れてよかったと思えるカードです。

重要なトリックですが、相手が「謎めいた命令」を使う場合の話です。
「変わり谷」を起動せずに攻撃クリーチャーを宣言して相手の対応がなかった場合、もう「変わり谷」は攻撃できません。
しかし、相手がこちらの勢力をタップした時、解決後に「変わり谷」を起動して攻撃する事はかのうです。



「魂の洞窟」の枚数はメタゲーム次第です。
カウンターが増えたら増量します。
「虚空の杯」を採用するなら増量します。
ただ、思考停止して4枚入れる前にこのカードは「広がりゆく海」「呪文貫き」「大いなる玻璃紡ぎ、綺羅」のための青マナは生まれない事に留意してください。




マーフォークは青いデッキなのでマジック最強カード「島」を使えます。
しかし、「沸騰」と「窒息」は大問題です。
そこで「水辺の学舎、水面院」と「雲の宮殿、朧宮」を採用する事で痛手を軽減するのです。
それに「ワンダーワインの分岐点」のために公開するマーフォークは充分あるので全ての土地がアンタップインでプレイできると考えていいでしょう。
だからって入れ過ぎは禁物!「血染めの月」に弱くなりますからね。

朧宮で面白いのは「ヴェールのリリアナ」でディスカードさせられる前に手札に戻せたり、「変わり谷」のマナでバウンスしてサイドセットすれば無色マナを青マナに変換できます。
水面院は相手の綺羅の能力で一回打ち消させるために使います。
「ワンダーワインの分岐点」は「流刑への道」を構えているかのように見せられます。

しばしば、このデッキに慣れない人は島以外の青マナ源、大体「四肢切断」のための黒マナを出せる土地を入れようとしますが、いりません。



M10ランドやハイブリッドランドはマリガンの理由になりかねません。
例えば「呪い捕らえ」「銀エラの達人」「銀エラの達人」「メロウの騎兵」「変わり谷」「変わり谷」と青い土地だったとしましょう。その青い土地がアンタップインするならばキープできますが、「水没した地下墓地」であったり「沈んだ廃墟」だとマリガンです。

「闇滑りの岸」といった傷痕ランドはこれはこれで問題で、マーフォークは4ターン目に4マナを出したいのです。
「波使い」は5ターン目に出したいカードではないですし、ロードを出してから「否認」を構える動きも重要です。

・入れ替え可能な部分

このデッキの核であるカードを4枚ずつ採用し、土地を20枚とした時、16枚分のスロットが余ります。
除去、カウンター、生物等の何らかの組み合わせで採用するかと思いますが、マーフォークにはシナジーがある事を念頭に入れましょう!



「潮流の先駆け」が去年印刷された時、マーフォークに革命が起きましたが、SimonのGPロサンゼルスのリストに採用されていない点からマーフォークは元々充分強かったと言えるでしょう。
このカードは「欠片の双子」によるコピーを出したタイミングで使用したり、エルドラージの冬では「現実を砕くもの」を戻したりしていましたが、今は選択肢の一つに過ぎません。

「潮流の先駆け」は「蒸気の絡みつき」のように使える訳ではありません。あくまでタップしたクリーチャーをバウンスするのですが、「ぎらつかせのエルフ」が10/10で攻撃してきた時に「呪文滑り」がアンタップ状態なら強いかもしれません。感染使いは「呪文滑り」で攻撃する事も選択肢に入れておきましょうね。



「潮縛りの魔導士」は「極楽鳥」「タルモゴイフ」「僧院の速槍」「ぎらつかせのエルフ」その他諸々をロックします。このカードの採否は環境次第。



「幻影の像」は盤面で一番強いクリーチャーの水増しに使います。大体ロードとして使う事になるでしょうが、時には「タルモゴイフ」「現実を砕くもの」や「引き裂かれし永劫、エムラクール」になるかもしれません。
対象にとられた時生け贄になる能力は気にしなくて構いません。モダンにあるカードであれば、この能力がなくてもどうせ除去できるのです。

「幻影の像」で好きなのは「霊気の薬瓶」を置いた状態で「大歓楽の幻霊」のコピーにするのです。
もう呪文を唱える必要はないので盤面を着々と作り上げてください。相手は3点のダメージを与えるために4点喰らうジレンマに陥れましょう。
他にも親和や感染の飛行クリーチャーになってブロックしたり、「波使い」になってトークンを量産したり、「グリセルブランド」になってむしろこっちがカードを引いてやりましょう。



「大いなる玻璃紡ぎ、綺羅」はマーフォークではないものの、相手が除去満載だった時に役立ちます。
相手はまず綺羅を除去するために2枚の除去を使わないといけないのです。
また、あくまでついででですが、飛んでいるので「未練ある魂」や「墨蛾の生息地」に対するブロッカーです。


・対策カード



「残響する真実」はカウンターできない厄介なパーマネントに対する回答となります。これがないと「亡霊の牢獄」「崇拝」「罠の橋」にあっさりやられてしまいます。
これはトークン対策にもなります。



「蒸気の絡みつき」はライフを損なう事なくテンポを取れます。必要な時は相手の生物をバウンスしましょう。重要なのは自分の生物を戻して除去を躱す事もできる点です。



「四肢切断」を唱える度に4点のライフを失うとしても、クリーチャーを除去する事が大事です。「蒸気の絡みつき」より「四肢切断」です。ただしバーンは除く。




フリースペルは常に強い。「Force of Will」から「激励」にいたるまで、時に重要な仕事をします。「はらわた撃ち」はエルドラージの冬に「エルドラージのミミック」を除去するカードとして採用されました。そして今は不利なマッチアップに必須のカードとなりました。

親和で大問題となるあのカードをテンポを落とす事なく除去できます。アブザンカンパニーの「台所の嫌がらせ屋」が返ってくる前に「臓物の予見者」を除去できます。「荒廃の工作員」をマナを使わずに除去できます。マリガンした相手の出した「極楽鳥」を叩き落としましょう。「はらわた撃ち」はものすごく便利です。



「地盤の際」はもっと評価されるべきカードで、マーフォークは「呪文貫き」を強く使えるという意味でこのカードの恩恵を受けています。クリーチャー・土地を除去したり、カツカツのマナ基盤を追い詰めたり、ウルザを揃いにくくしたりできます。
ハンデスを使う相手には「霊気の薬瓶」の代わりにサイドインしてください。

・カウンター



マーフォークは2マナの生物が大量に入っているため、1マナのカウンターはマナカーブにぴったりで、1ターン目に打つか3ターン目に生物出してから打つと非常にきれいです。
「呪文貫き」はゲームが進むにつれ弱くなるため、恐れずに序盤に使ってしまいましょう。



このカードはとても面白い。もし「Force of Will」と「呪文嵌め」を組み合わせたような呪文が欲しいなら、「錯乱する群れ」を使いましょう!
早い環境になる程このカードが刺さります。マストカウンターである「頭蓋囲い」「タルモゴイフ」「瞬唱の魔導士」「アタルカの命令」に対応できます(全て2マナ)。
ジャンドのようなミッドレンジが多い環境では見送った方がいいかもしれません。




どういったデッキと当たるかによりますが、他のカウンターも検討してみてください。
「否認」はコンボに強く、終盤も腐りません。
「払拭」は除去の濃い相手や「集合した中隊」「召喚の調べ」を使うようなデッキに効きます。
「浸襲手術」は「風景の変容」「祖先の幻視」に「神々の憤怒」に使います。
最後に「差し戻し」は「蒸気の絡みつき」と同様に終盤で弱いですが、キャントリップは魅力的です。

・その他



「虚空の杯」は私が採用しているカードの中でとても好きなカードです。
モダンは1マナや2マナで溢れ返っており、「虚空の杯」はすごく効果的です。多くのデッキは対処できなければ死ぬのです。
「呪文滑り」を破壊するために採用されるアーティファクト破壊は1マナが多く、それは「虚空の杯」で打ち消せます。
覚えておきたいのは「虚空の杯」をX=0で置く事で、「死せる生」「祖先の幻視」「否定の契約」や親和の多くの生物を止められます。



このカードが採用される理由はたった1つ、親和。もちろんランタンコントロールにも使えますが、それは「残響する真実」でも問題ありません。親和は古来よりマーフォークの天敵でした。適切なタイミングで「ハーキルの召還術」を1回か2回撃てるかどうかが生死を分けます。

もし、このカードの採用を検討しているなら最低3枚は入れましょう。一部の人は2:8の戦いを3:7にしたいだけのように見受けられますが(中途半端に入れるくらいなら最初から入れるなって事でしょうね)。



墓地対策が欲しいなら、これでしょう。「大祖始の遺産」は「タルモゴイフ」を小さくしたり「瞬唱の魔導士」の対象を減らすために使われます。さらに墓地を一掃した上でキャントリップがついてきます。この柔軟さは「トーモッドの墓所」にはないものです。



「大いなる玻璃紡ぎ、綺羅」を買う金がない人が代わりに「僧院の包囲」を採用しているようですが、単なる下位互換ではないと考えています。
「僧院の包囲」は最初の呪文をカウンターするのではなく、全ての除去を2マナ重くします。これは2対1交換を要求する代わりにテンポをとりに行っているという事です。
このカードはあなた自身も守ってくれます。つまり、「溶岩の撃ち込み」と「思考囲い」のマナコストが3になるのです。
カンのモードで唱えればトップ勝負の時、有利に働くでしょう。



あなたのまわりがエルフやボーグル(呪禁オーラ)で溢れているなら何枚か「冬眠」を採用しましょう。
柔軟なカードではありませんし、3マナは重たいので使わない事の方が多いでしょうが。

・次週!

かなりの部分を網羅したつもりですが、まだまだ皆さんの知恵を貸してもらいたいです。
次週、ここで取り上げきれなかったものを取り扱いたいと思います。
今週も頑張りましょう!


次回TTTは6月4日です。
次回HMOは未定です。


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